2021 February

 

 
 

木場の現代美術館に「石岡瑛子(1938-2012)展」を見に行く。アートディレクターの草分けであり多岐に渡る分野で新しい時代を切り開き、世界を舞台に活躍した氏の仕事を総総覧する世界初の大回顧展。「血が、汗が、涙がデザインできるか」という副題の通り、大変な熱量に圧倒される。セゾン美術館で「NUBA」展を見たのは中学生の頃、初めてアートディレクターという仕事、そして石岡瑛子氏を知った。その後父から結婚のお祝いに贈られた「LENI」も氏の仕事でありその偶然に驚いた事を思い出す。

 

 

 
 

緊急事態宣言下であり打ち合わせも殆どがオンラインの最近、アトリエに篭っていたせいか、久しぶりに訪れた現代美術館の大空間は何とも言えない解放感。マルタ・パンの彫刻が水面に映る美しいお庭を楽しそうに散策している人々、コロナによる閉塞感に誰もが癒しを求めている今、美術館の存在に救われる。

 

 

 
 

劇的な熱量と満艦飾の石岡瑛子展を見た後、あまりのインパクトに少々呆然としたまま同館で開催中の「透明な力たち」展を見る。若手作家の作品を中心に現代美術の一側面を切り取るグループ展、MOTアニュアルの16回目。人やモノを動かしている自然界や社会の中の「不可視」=見えない力の作用に着目し、そのメカニズムを再構築しようと試みるアーティスト5組の美しい展覧会。

 

 

 
 
 

 

 
 

回転や振動を伴うからくり装置。日常生活の中でなにげなく働いている見えない力を使った懐かしいおもちゃなど、その種類とインスタレーションの面白さに思わず一つ一つの動きをじっくり見る。

 

 

 
 

生物学的な反応が起きる様子を見せる映像作品や、生物工学を取り入れたバイオアートなど、さまざまなインスタレーションが複雑なその仕組みを解析するように並ぶ。透明感のある真っ白な会場にも何か「透明な力」が働いていそう・・・。

 

 

   
 
 
 

 

 
 

プロトコルを考察するソフトウエァアート、という解説を読みつつORコードが並ぶインスタレーションの大空間へ。写真を撮ると全て読み込んでしまいオートマティックにそのURLが開く。「新しい生活のあり方を考察する作品」とは正に、時代が変わりつつある今を実感する。透明感のある無機質なインスタレーションが続き思考までクリアになったよう。世界中で活躍する若手作家の爽やかな活動を知る素敵な展覧会。

 

 

 
 
 

久しぶりに東京国立博物館を訪れる。5つの建物からなる博物館公園のようなトーハク、普段は各館の入場者でごった返している前庭も今はひっそり、ようやく全貌を知る素晴らしい機会になる。各館の設計も本館-渡辺仁、東洋館-谷口吉郎、表慶館-片山東熊、法隆寺宝物館-谷口吉生、黒田記念館-岡田信一郎とゴージャスな顔

 

 

   
 
 

東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に始まった「日本博」は「日本人と自然」をテーマに「日本の美」を体現する美術展や舞台芸術公演が全国で展開される文化芸術の祭典。訪日外国人観光客の方々に東京だけでなく地方も訪れて欲しいという誘客、ひいては「国家ブランディングの確立」とパンフレットの恭しい文言にいささかたじろぐ・・・。

 

 

 
 

表慶館にて日本博の特別展「日本のたてものー自然素材を活かす伝統の技と知恵」展を見る。文化財建造物修理事業の一環で製作された1/10の木造模型が一堂に会する貴重な展覧会、片山東熊デザインのドーム建築に五重塔がそびえる圧巻のエントランス。

 

 

 
 
 
 
 
 
 

細部まで精巧に作り込まれた木造模型がずらりと並ぶ光景は大変な迫力。2018年から始まった「日本の伝統建築工匠の技:木造建築物を受け継ぐための伝統技術」をユネスコの無形文化遺産へ登録するための活動にも大いに納得。日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」の一環でもある素晴らしい展覧会に感激する。

 

 

   
 
 
 
 
銀座和光や熱海の日向別邸など渡辺仁氏の設計による建物の独特の雰囲気を感じつつ、トーハク本館の総合文化展を見る。照明を落とした展示室に並ぶ埴輪は「物言わぬ時代の証言者」のようで少し怖い。その昔パリの日本文化会館で日本通のシラク大統領(当時)が「DOGU」と「HANIWA」について話していた事を思い出す

 

 

   
 
 
 

明治11年(1878)に奈良・法隆寺から皇室に献納され戦後に移管された宝物300あまりを収蔵・展示している法隆寺宝物館。谷口吉生氏の設計による端正で洗練されたモダンな空間に7世紀の宝物が整然と並び、控えめな照明が宝物のディテールを浮き彫りにするその美しさは息を呑むほど。

 

 

 
 

かつて法隆寺の絵殿を飾っていた大画面の障子絵は平安時代・延久元年(1069)、絵師・秦致貞によって描かれた聖徳太子の生涯を描く聖徳太子絵伝の中で最も古く初期やまと絵の代表作と言う。画面の傷みがひどく詳しく鑑賞出来ないため「複製グラフィック展示」、聖徳太子の生涯を追体験するという解説に畏れおののく。

 

 

     
 
 
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