2020 11 COVID- 19 Paris Lock Down

 

 
 
 
10月30日にとうとう2回目のロックダウン=都市封鎖になったパリへ出発、レジデンス保持者であるため入国は出来るものその先の不安は尽きない。いつもは一時停車すら困難な羽田空港の出発レベルは水を打ったように静か、一日全ての出発便がたったこれだけという事にも驚く。

 

 

 
 
 
出発ロビーに到着すると余りの静けさにチェックインカウンターが開いているかすら訝しい雰囲気。各旅行会社のツアー窓口も、普段は乗り継ぎの外国人が楽し気な和風カフェも人っ子一人居ない。東京オリンピックのために準備された「We are Tokyo」の写真ブースが何ともシュール。

 

 

 
 
チェックインを済ませ搭乗ゲートに向かう。飛行機はかろうじて飛んでいるのだから搭乗ゲートフロアのお店はさすがに開いているだろうと思いきや・・・、全てクローズ。同じ飛行機に乗るはずの乗客の姿も見えずまさか一人?

 

 

 
 
接触を避けるため飛行機の後部座席から乗客を誘導していくシステムは前回の成田空港で経験済み。航空会社の優先搭乗など全く意味を持たないコロナ以降、座席番号順のグループ分けもシステマティック、全てが整然と進むのもJALならでは。

 

 

 
 
搭乗ゲートで他の乗客を見かけなかったのも当然、殆ど乗客がいない・・・。チェックイン時に見せて頂いた座席表そのままの機内に驚く。奇しくもオリンピックに向けてリニューアルしたばかりの機材、全てが新しくエコノミーとは思えない高級感のあるシートも今となっては虚しい。

 

 

 
 
空港に到着してからシートに落ち着くまで幾度となく検温チェック、消毒、保健所関係の書類の記入と普段とはあまりにも違う数々のトラップをクリアして来たせいか、機体が滑走路を滑り出すと何とも言えない解放感に包まれる。駐機場には飛ばない飛行機が果てしなく並ぶ異様な光景にコロナのパンデミックを実感する。

 

 

 
 
誰もいないJALの機内で穏やかな時間を過ごしシャルル・ド・ゴール空港に到着するとイキナリ現実に引き戻される。ロックダウンのため入国に際して数々の書類を記入させられたけど、それをチェックする検察官すらいない。普段は長蛇の列のパスポートコントロールもたった一つの窓口、退屈し切ったポリスは至って呑気にボンジュール・・・。ロックダウンの現実をまざまざと見せつけられる。

 

 

 
 
預けたバゲージをピックアップしようにもターンテーブルは全てストップ、誰もいないので聞く事も出来ずボーゼンと待っていると数人分の荷物が台車に載ってやって来る。あまりの少なさに手動で充分とのこと、見渡す限り人の居ない閑散とした到着ロビーを抜けてタクシー乗り場へ。パーキングかと見紛うタクシーレーン、備え付けの電話でタクシーを呼ぶセルフサービス?延々とアナウンスが流れ途方に暮れる。

 

 

 
 
 
ようやく我が家に到着するとやはりほっとする。外出許可証のQRコードをスマホで読み取り住所や行先を記入、ひとまず「生活必需品の調達」と言う名目にチェックを入れる。サンジェルマン・デ・プレ教会は警察の詰め所になっているようで第二次世界大戦の時を彷彿とさせる。スマホ画面を印籠のように見せてニッコリ、幾つかの質問を受けてようやくパス。ご近所のスーパーマーケットが果てしなく遠く感じられる。

 

 

 
 
8月に帰って来た時はヴァカンスで閑散としていたけれど、今回は正に「ロックダウン=都市封鎖」と言う言葉が現実として迫って来るような光景に驚く。日も長く陽気な8月とは違い鈍色の空もその雰囲気に拍車をかけるよう、人々はどこに居るのだろう・・・?

 

 

 
 
左岸の我が家から右岸に行く時にはセーヌ川を渡りルーブル宮の中庭を突っ切る。いつもは観光客でごった返すこの広場も誰も居ない・・・、本当に見渡す限り人影が全くない異様な光景にコロナのパンデミック、その恐ろしさをひしひしと感じる。

 

 

 
 
銀行も通常なら営業時間内にシャッターを下ろしている事などあり得ないけれど、今は全てアポイントメント制。シャッターの前にはCOCID-19=コロナに関する注意事項とそれにまつわる変更事項の掲示、ATMの前にはソーシャルディスタンスのマーク、マスコットのライオンもマスクをしている。

 

 

 
 
 
 
スーパーマーケットの入り口には感染防止に関する様々な注意書きが張られたボード、そして日本では考えられない「マスクの着用の仕方」。生活必需品の購入のみが許されているロックダウン禍の今、同じ店内でもコスメティックや衣料品の売り場には入れない。

 

 

 
 
凹凸のないこけしのような顔立ちの私と、ギリシア彫刻を思わせる高い鼻のフランス人ではマスクに対するストレスが全く違うはず。「withコロナ」の生活も長くなりその開発も随分進んだようで様々なタイプのマスクが販売されている。「まるで犬のマズル(口輪)を着けているみたいでイヤだけど普通のマスクでは窒息する」・・・、と言う友人の言葉に大いに納得。

 

 

 
 
2回目のロックダウンは学校や役所は通常通り、一通りの雑用を済ませてひとしきりサンジェルマンを歩いて見る。自宅から1キロ以内は「散歩・ジョギング・犬の散歩・お祈り」と言う理由で用事がなくとも出かける事が出来る。サンジェルマン・デ・プレ教会は通行証をコントロールするポリスと路上生活者、祈りを捧げるお年寄り、マスクを配るボランティアのマダムが和気あいあいと集まりそれなりの「三密」。ポリスがアカペラで歌う賛美歌が心に響く。

 

 

 
 
サンジェルマンのシンボルとも言える老舗のカフェも当然クローズ、いつもは美しいウィンドウが楽しみなラデュレもシャッターを閉めてひっそり。ゴーストタウンの様なサンジェルマンの街、異様な静けさが怖い・・・。

 

 

 
 
8月に帰って来た時もあまりに人が居ない光景に驚愕としたけれど、カフェやレストランは開いていた。今回はロックダウンという事で本当に全てがクローズ、鈍色の空の下空っぽの街が目の前に広がる。まるで都市計画の模型に入り込んだような不思議な気分。

 

 

 
 
カフェやビストロ、ブティックやギャラリー、歴史ある隠れ家のようなプチホテルが並ぶサンジェルマン。「生活必需品」ではないためロックダウンになると全てがクローズ、積み上げられた椅子とマスク着用の貼り紙が切ない。

 

 

 
 
 
春のロックダウン以降、テラス席を拡張して営業していたカフェやレストラン。元々外で過ごすのが好きなフランス人、夏には活気を取り戻していたよう。ヒーターを設置して寒さ対策も万全に、何とか危機を乗り切ろうとしていた所に2回目のロックダウン、あちこちに残るテラスの跡に変わってしまった街の景色をボーゼンと眺める。

 

 

 
 
ホテルも例外ではなく全てクローズ、前回のロックダウンの時は仕方なくその期間を改装に充てたホテルももはや打つ手はなく全面的にクローズ。シャッターを閉め、紙で目張り、板を打ち付けられたホテルは廃業なのかも知れない。

 

 

 
 
大きなウィンドウのルイ・ヴィトンのブティックも今では空っぽ、真っ白な棚だけが並ぶ店内が光のオブジェのように暗い街に浮かび上る、シュールで不思議な光景。

 

 

 
 
オンラインや電話でオーダー、店内には入らず店先で受け取る「Click&Collect」と言うシステムがすっかり定着したパリ。ロックダウンも後半になり近ずくクリスマスに備えせめてウィンドウだけでも華やかに・・・、大げさではなく「心に灯る希望の光」のように感じるのは私だけではないはず。

 

 

 
 
ジュエリーのメッキや研磨などの下請けが並ぶ問屋街も例外ではなく「Click&Collect」。いつもは喧々囂々、店内の人全員が喋っているのでは?と思うほど騒がしい問屋街も今は水を打ったように静か。臨時休業ではなく倒産の貼り紙も多く、優しかったマダムやムッシューの笑顔が走馬灯のように頭をよぎり胸が締め付けられる。

 

 

 
 
出来る限り公共交通機関を使わないようにという呼びかけもあり、警視庁の駐車場は車通勤が許可された庁員で満車と聞き、普段は車ばかりの私も久しぶりにメトロに乗る。いつもは乗降客でごった返すサンジェルマン・デ・プレの駅も閑散、誰も居ないホームにソーシャルディスタンスのマークが並ぶ。チケット売り場も地下鉄の中もこのマークが水玉のように・・・、草間彌生のアートを思い出すのは私だけだろうか?

 

 

 
 
シテ島にある警視庁の最寄り駅の「Cite」、セーヌ川を潜行するため地下20メートルの深さにあり第二次世界大戦中は避難通路に使われていたとか。そんな歴史を思い出しながらホームに降りると巨大なマスクの広告、「マスクのポイ捨て」はパリでも深刻な公害問題。

 

 

 
 
メトロ構内も至る所にコロナ=COVID-19関連のマーク、「マスク着用は義務、鼻と口を覆って」。マスク・ソーシャルディスタンス・手洗いの「三種の神器」はもちろん、 ポイ捨て防止を呼び掛けるマークもパリらしい。

 

 

 
 
 
警視庁の中もいつもは黒山の人だかり、と言う表現がぴったりな「並ぶ」と言う概念の無いフランス人も今は理路整然。来庁の内容によって振り分けられた列に並び、マスクをしたまま喋ってはいけない・・・。日本人の私には至って快適なこの状況もフランス人には大変なストレスなのだろう。

 

 

 
 
その昔、私が学生だった30数年前は電話でのアポイントメント制もなく、直接パリ北東部の学生センターに赴き数時間並ぶのは当たり前だった滞在許可証の申請や交付。その後は電話、インターネットと進化を遂げ「隔世の感がある」・・・、と思っていたこの数年。今では隔世を通り越してSF映画のように人が居ない待合室、受付も全てマシンになりあらゆる国籍の人達が喋る不思議なフランス語が聴こえて来ることもない。

 

 

 
 
普段はクラクションが鳴り響くリヴォリ通りやオペラ通り、人も車もなく静まり返った日中、どこまでも見渡せる不思議な光景が続く。朝夕の通勤時は車はもちろん、公共交通を使いたくない人々の自転車やキックボード、果ては一輪車までが縦横無尽にクロスする凄まじい大渋滞。ポリスが警笛を鳴らしパーテーションを自在に置き換え交通整理、カーナビなど全く意味のないロックダウンのパリ運転事情。

 

 

   
 
 
「共有や連帯」が好きなフランス人には大人気の乗り合い自転車ベリブにもコロナの影響は色濃く殆どが残っている。ベリブを使えば公共交通機関を使わないで済む、と思いきや「他人と共有しない」が感染予防対策の基本とのことで「マイ自転車」を買う人が増えているそう。

 

 

 
 
街中でもあちこちに見かけるコロナ関連の広告やアナウンス。ベリブが残っているのも大いに納得する「触ってはいけない」と言うポスター、握手やハグが習慣のフランス人にはさぞやストレスのはず。「決して自分のマスクナシで出かけてはいけない」という強いメッセージも共有好きのフランス人には驚きであり悲しみ?バス停にある消毒ジェル を手に擦り付けるにもつい話しかけてしまう人懐っこさが仇になる。

 

 

 
 
 
最近のパリは公害が一掃され澄んだ空気と美しい空、暮れて行く青空と夕焼け、灯り始めた街の明かりが絶妙のハーモニーを奏でる。車の中で迎える夕暮れは街全体がシアターのようで刻々と変わる景色が大画面で迫って来る。

 

 

 
 
友人と会うにもカフェはクローズ、お互いの家に行くには遠い。公園や河畔も「止まってはいけない」ため落ち着かない、となると車でドライブが意外に快適なロックダウン禍のパリ。普段は行く事も無いシャンゼリゼにイルミネーションを見に行こう!と観光客のような私達、例年なら舗道はイルミネーションを見る人でいっぱい、車から撮影しようとするスマホをかざした車で大渋滞だけれど・・・。あまりにも物哀しい状況に言葉少なになる。

 

 

 
 
サンジェルマンのイルミネーションで気を取り直そう、と送ってもらうも益々物哀しいLEDの青い光。20時前だというのに静まり返った街に教会の塔がそびえ、灯りの無い大通りにイルミネーションを施された街路樹が寂し気に並ぶ。「見なければよかった」・・・、と後悔の念が頭をよぎる。

 

 

 
 
昨晩の残像が拭い去れないまま快晴の朝を迎え今度こそ気を取り直そうとルーブル宮の中庭からカルーゼル庭園を歩く。ジョギングや犬の散歩も「自宅から1キロ以内」しか移動出来ないロックダウンの今、見渡す限り人の居ない庭園と澄み切った空気に癒される。ここでもマスクナシでは柵は越えられない。

 

 

 
 
ロックダウン下の土曜日の朝、とはいえパリの街中にこれほど人が居ない事があっただろうか?ルーブル宮とセーヌ川を挟んだフランソワ・ミッテラン通り、その先にあるパリ市庁舎まで見渡せるほど人も車も居ない。橋を渡ると臨時休館のオルセー美術館、いつもは入館を待つ人で溢れその姿は掻き消されているけれど久しぶりに全貌を眺め「オルセー美術館は駅だったのだ」と改めて思い出す。

 

 

 
 
セーヌ河畔に下りて見ると光る水面に白鳥や鴨が・・・、30数年のパリ生活で初めて見る光景。澄んだ水色のセーヌ川、青空にはカモメが舞う。にわかには信じられない清々しいパリの朝。

 

 

 
 
朝から夕方まで、ジョギングや買い物で数回街に出たけれど誰ともすれ違わない・・・。皆さんお家に居るのだろうか?私の住むサンペール通りの静か過ぎる夕暮れ、自分のブーツの音がこだまして、街や通りを「一つの空間」として感じられる不思議な体験。

 

 

 
 
3週間に渡るロックダウンの結果、感染者が急激に減ったとのことで規制が一部緩和される。レストランやカフェなどの飲食は来年1月20日までクローズとはいえ、自宅から1キロ以上の遠出が許されるとあってセーヌ河岸は日光浴をする人で溢れる。サンペール通りの医学部も入構が許され検温を待つ学生が長蛇の列、長く続いた閉塞感から解放され一気に人出が増えるのも怖い。

 

 

   
 
 
引き続きロックダウンは続行とはいえ一部緩和による人出は止まらず、感染リスクを考えて帰国することに。シャルル・ド・ゴール空港に到着すると今日の出発便はたったこれだけ、いつもは延々に続く出発便のリストが目まぐるしく変わる電光掲示板も止まったまま。

 

 

 
 
出発便が極端に少ないためターミナルを一つに絞って稼働させているシャルル・ド・ゴール空港、セキュリティチェックもガラガラで係官も退屈し切っているよう。かろうじて飛んでいる数便のために開いて居る免税店、飲食は禁止のためオブジェのようにスツールが並ぶシャンパン・バー。クリスマスのデコレーションもさすがに地味。

 

 

 
 
機内に入ると他の乗客はどこに?クルーの数の方が多いのではと思うほど乗客が居ない。滑走路脇の駐機場には飛ばない飛行機が果てしなく並ぶ異様な光景、鈍色の空にエールフランスの機体がプラモデルのように映るシュールな美しさ。クルーの方の感染予防対策は万全この上なく、世界一感染リスクの少ない空間では?と思うほど。

 

 

 
 
プライベートジェットのような空の旅もつつがなく終わり、羽田に到着するといつになくほっとする。空港近くの駐機場にはパリと同じく飛ばない飛行機が延々と並ぶ。荷物が下ろされる光景を見るのもめったにない事、その昔降り立ったインドのニューデリーを思い出す。到着便は私が乗って来たJALの一便だけなのだろうか?

 

 

 
 
本来はオリンピックで賑わうはずだった羽田空港、真新しいオリンピックフラッグやウェルカムボードがあちこちに。出発便も到着便も殆ど無い、見渡す限り人の居ない通路をひたすら歩いてPCR検査場へ。

 

 

 
 
8月に成田空港に到着した時には拡声器を持った厚生労働省の方の指示の元、番号の付いた席に並ばされた。その強烈な記憶に恐れていたPCRも検査も今ではすっかり日常化した羽田空港、唾液採取のブースも以前とは違い穏やかな雰囲気でほっとする。パネルに表示される検査結果を待つ。

 

 

 
 
diary index 数えるほどの乗客のせいかあっさり検査結果を頂きようやく入国、今回ほど「入国」を意識したことはなく珍しくスタンプを貰う。水を打ったように静かなターンテーブルの脇にポツンと置かれたスーツケース、公共交通機関での移動は禁止されているためエスカレーターも使えない。迎えの車を待つ間、入国スタンプをしみじみと眺める。 page top

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