2020 October

 

 
 
パリに長かった祖父は「トランクと毛布」をコレクションしていた。1929年に船でヨーロッパに渡った時の思い出が生涯を通じて心の宝物になっていたせいか、船の中の話を良くしてくれた。そんな祖父が軽井沢で作ってくれた籐のトランク、夏休みになるとこれに子供なりの「夏の一式」を詰めて軽井沢へ向かう。ゴム製の黒いトランクはパリコレの会場で作品を見せるために友人に作ってもらった私の原点、トランク好きは祖父譲り。

 

 

 
 
 
旅先で集めた膨大な数のピンバッチ、一つ一つは思い出深くとも身に着ける機会もないまま箱の中。額装しようにも収まりが悪くコレクション用のケースは味気ない。写真用のフレームをリメイクしてオリジナルのピンバッチ額を作る。訪れた時の光景を思い出しつつ美しく配置、ピンを刺すとピタッと収まりようやく念願の額装。

 

 

 
 
 
子供の頃、編み物をする祖母の横で余った毛糸を貰って編んだあやとり。まだ「鎖編み」しか出来なかった私は何本ものカラフルなあやとりを編んで友人にプレゼントしたり、教会のバザーに献品していた懐かしい思い出。フランスには無いあやとり、チャリティー用グッズとして作ってみると大人も子供も夢中になって大人気。お互いに「取り合う」のも楽しいよう。私の名前にちなんだ真っ赤な鎖編みが示す「絆ー連帯」の意味もチャリティーにはぴったり。

 

 

   
 
 
今年はコロナの影響でほとんどのイベントが中止。仕事関係以外の人と会う機会が激減する中、お目にかかれないまま他界される方も・・・。ご一緒した時の写真をシンプルな額に入れ手作りのカードを添えてお送りする。温かな笑顔と豪快なお話はいつまでも心に残る素敵な思い出。

 

 

 
 
 
母が大切にしていた中国段通は分厚い手織りの絨毯。かつてフランスからの注文で作られていたせいか濃厚な花柄、ペルシャ絨毯とは一味違ったきめの細かい手織りの感触が何とも素敵。我が家のシンプルなインテリアのアクセントに、リビングのセンターピースとして使う。

 

 

 
 
軽井沢もコロナの影響は色濃く旧道のお店も次々に閉店。子供の頃から毎夏楽しみに通った「大城レース軽井沢店」もとうとうクローズ。別荘に持って行く洋服は限られていたのでちょっとしたお出かけにはTシャツにこの付け衿、私にとっては懐かしい思い出のアイテム。お店の方から亡き母へお供えにと頂き、悲しくも嬉しいプレゼント。

 

 

 
 
 
今年はコロナの影響で殆ど電話注文で済ませた梱包材や備品の調達、ようやく少し落ち着いて久しぶりにご挨拶に伺う。ここでもコロナの影響は色濃く、中国製に頼って来た石油製品の製造はもはや国内では無理、タイやベトナムの工場と提携し輸入のシステムから再構築と聞き影響は今後ますます深刻になりそう・・・。

 

 

 
 
  友人の家庭菜園で採れたゴーヤを頂く。実は初めて見るゴーヤ、その芸術的な形も面白いけれど切ってみると種がアトランダムに並んでいるのもびっくり。「グラフィックデザイナーが考えた幻のお野菜」のような不思議なビジュアルはテキスタイルの柄になりそう。  

 

 

   
 
 
 
昨年エスモードジャポン東京校で開催された私の講演会を聴きに来て下さった学生さんから素敵なパリ便りが届く。マロニエの葉の押し葉も美しく、手作りの本になったお手紙はエスプリに溢れた素敵なオブジェのよう、早速アクリルのケースのディスプレイしてアトリエに飾る。

 

 

 
 
母が残した膨大な数の着物の整理もようやく終わりが見えて来る。着物を着る機会がほとんどない私にはその価値もあまり解らず・・・、お能のお稽古に通ういとこ姪に教わりつつその奥の深さを知る。桐箱を開けるとたとう紙に残された母の覚書きも懐かしく、小宮先生の江戸小紋は私にも解る素晴らしさ。

 

 

 
 
 
家紋の入った留め袖は嫁いでしまった私には着られず、こちらも頼りにしているいとこ姪に着てもらうことに。防虫用のにほひ袋は白檀、沈香、丁子などを組み合わせたお香、「ゆかしいお香りはお人柄を偲ばせるよすがとなります」と出入りの呉服屋さんの若旦那、母と反物を選んだ縁側の光景が懐かしく思い出される。

 

 

 
 
 
コロナ以降友人と会う機会もめっきり減っていたけれどようやく少しずつ再開、お互いの手土産も「個別包装の小さなモノ」にすっかりシフト。大好きなコーヒーと蜂蜜はいつ頂いても嬉しいプレゼント。ドリップのフィルターが付いた可愛らしいミニチュアのようなコーヒー、エルメスかと見紛う美しいラッピングの蜂蜜はオレンジフレーバーが紅茶にもぴったり。

 

 

 
 
mono index ノンアルコール生活も長くなり、すっかり甘党の最近はお気に入りの和菓子のレパートリーも増える。友人に勧められた京都の「仙太郎」の和菓子はどれも美しく、中でもこの「老玉」は黒糖の羊羹に寒天の衣が黒水晶のよう。折箱に収まった真っ黒な老玉はなかなかの迫力、繊細な和菓子の世界には珍しいインパクトのあるアーティスティックな贈り物。 page top

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